工業専用地域の実例
工業専用地域とは、工業地域よりも更に工業に特化した用途地域です。
13種類の用途地域の中で唯一住宅が建てられない他、店舗や飲食店、パチンコ店などの遊戯施設、ボーリング場などのスポーツ施設、キャバレーなどの風俗店も建てられません。
工業の発展のみを目的とした地域になります。
工業専用地域がどのような地域なのか、わかりやすく解説します。
工業専用地域の詳細説明
工業専用地域は工業の業務の利便の増進を図る地域。どんな工場でも建てられる。住宅・物品販売店舗・飲食店・学校・病院・ホテル等は建てられない。福祉施設（老人ホームなど）も不可。住宅が建設できない唯一の用途地域でもある。簡単に言えば、京浜工業地帯などに代表される湾岸地域などである。石油コンビナートや製鉄所などの環境悪化の可能性が大きい設備が設立されている地域である。また、花火工場などの危険性が極めて大きい工場もこの地域に建設される。
※ウィキペディアより引用
工業を専用とした地域なので、課せられている制限はひじょうに緩くなっています。
工業専用地域の制限
制限の一覧
建ぺい率 （％） |
50、60 | |
| 容積率（％） |
100、150、200、300、400 | |
| 絶対高さ制限 |
― | |
| 道路斜線制限 |
適用距離 | 20ｍ 、25ｍ、30ｍ、35ｍ |
| 勾配 | 1.5 | |
| 隣地斜線制限 |
立ち上がり | 31 |
| 勾配 | 2.5 | |
| 北側斜線制限 |
立ち上がり | ― |
| 勾配 | ― | |
| 日影規制 |
対象建築物 | ― |
| 測定面 | ― | |
| 規制値 | ― | |
| 外壁後退 |
― | |
高度地区、防火地域・準防火地域・法22条などは各自治体により制限内容が異なります。
◆制限の概要
工業専用地域の制限は、工業地域と同じで、日影規制の制限が無くなっています。
人が住む事は無いので、日当たりなどは考慮しなくてもよい地域になっています。
工業専用地域で建築可能な建物
各用途地域ごとに建築できる建物と建築できない建物があります。
工業専用地域では次の一覧表のようになっています。
建築可能な建物の一覧
| 建築物の用途 | 建築の可否 |
| 住宅・共同住宅 | × |
| 兼用住宅 | × |
| 幼稚園・小学校・中学校・高等学校 | × |
| 図書館 | × |
| 神社・寺院・教会 | × |
| 老人ホーム・保育所・身体障害者福祉ホーム | × |
| 公衆浴場・診療所・保育所等 | ◯ |
| 老人福祉センター・児童厚生施設 | ◯ |
| 巡査派出所（交番）・公衆電話所（電話ボックス） | ◯ |
| 税務署・郵便局・警察署・保健所・消防署 | ◯ |
| 大学・高等専門学校 | × |
| 病院 | × |
| 店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が150㎡以内のもの | ×※9 |
| 店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が500㎡以内のもの | ×※9 |
| 上記以外の物品販売業を営む店舗や飲食店（10,000㎡以内） | × |
| 床面積の合計が10,000㎡を超える店舗や飲食店 | × |
| 上記以外の事務所等 | ◯ |
| ボーリング場・スケート場・プール・バッティングセンター等 | × |
| ホテル・旅館 | × |
| マージャン屋・パチンコ屋 | × |
| カラオケボックス | ◯ |
| 自動車車庫（2階以下かつ300㎡以下） | ◯ |
| 自動車車庫（3階以上または300㎡超） | ◯ |
| 倉庫 | ◯ |
| 営業用倉庫 | ◯ |
| 自動車教習所 | ◯ |
| 劇場・映画館（客席部分の床面積の合計が200㎡未満） | × |
| 劇場・映画館（客席部分の床面積の合計が200㎡以上） | × |
| キャバクラ・キャバレー・ナイトクラブ | × |
| ソープランド・ヌードスタジオ等 | × |
| 自動車修理工場（50㎡以下） | ◯ |
| 自動車修理工場（150㎡以下） | ◯ |
| 自動車修理工場（300㎡以下） | ◯ |
| 工場（50㎡以下・危険性や環境を悪化させる恐れが非常に少ない） | ◯ |
| 工場（150㎡以下・危険性や環境を悪化させる恐れが少ない） | ◯ |
| 工場（150㎡を超えるまたは危険性や環境を悪化させる恐れがやや多い） | ◯ |
| 工場（危険性が大きいまたは著しく環境を悪化させる恐れがある） | ◯ |
| 危険物の処理・貯蔵施設、量が非常に少ない施設（ガソリンスタンド） | ◯ |
| 危険物の処理・貯蔵施設、量が少ない施設 | ◯ |
| 危険物の処理・貯蔵施設、量がやや多い施設 | ◯ |
| 危険物の処理・貯蔵施設、量が多い施設 | ◯ |
※9 物品販売店舗、飲食店は建築禁止。
◆建築可能な建物の概要
工業専用地域では工業地域よりも建築可能な建物が限定されていて、住宅、店舗や飲食店、パチンコ店などの遊戯施設、ボーリング場などのスポーツ施設、キャバレーなどの風俗店も建てられません。
工場で働く上で、最低限必要な施設だけが建築可能になっています。
工業専用地域の特徴
工業専用地域の街並み
工業専用地域の実例写真
大きな区画割りがなされ、そこに整然と工場が建ち並んでします。郊外に開発された大規模な工業団地です。
工業専用地域の概略
整備された工業団地
市街地から離れた場所で、広大な土地を開発して作った工業団地として整備した場所などは、工業専用地域に指定されている場合が多いです。
湾岸の工場地帯
湾岸エリアで大規模工場が建ち並んでいたり、石油コンビナートや大きな倉庫群があるような場所は工業専用地域に指定されている場合が多いです。
どんな工場でも建てられる
工業専用地域で認められている工場の記載には「危険性が大きいか又は著しく環境悪化の恐れがあるもの」と書かれています。
工業地域と同様に、どんな工場でも建築できる地域です。
住むことはできない
工業専用地域は用途地域の中で唯一、住居の建築が禁止されている地域なので、住むことはできません。
様々な商業施設も建築不可で、工業専用地域にはそこで働く人しか出入りしません。
無機質なイメージ
人が住むことはできないということは、一切の生活感が無く無機質なイメージの風景になります。
工場萌えの人が見たら喜びそうな光景に出くわすかもしれません。
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