田園住居地域とは
【用途地域の制限と実例】



 

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田園住居地域とは
田園住居地域の実例

 

田園住居地域とは、市街化区域内の農地を都市の構成要素として位置づけ、農地と市街地の共存を図るために設定された用途地域です。
低層の住居や農業用の施設(直販所・飲食店・貯蔵倉庫など)に限定して建築が可能です。

田園住居地域がどのような地域なのか、わかりやすく解説します。

 

 

 

 

 

 

 

田園住居地域の詳細説明

 

田園住居地域は農地や農業関連施設などと調和した低層住宅の良好な住環境を守るための地域。ビニールハウスなどの農産物の生産施設や農産物・農業の生産資材の倉庫等のほか、500m²までの一定の地域で生産された農産物を販売する店舗等も建てられる。

具体例としては、農産物直売所・農家レストランを中心とした地域である。地産地消を推進したいという目的で設置された用途地域とも言える。農産物直売所・農家レストランについて規制解除された他は第二種低層住居専用地域に準じている。

※ウィキペディアより引用

 

田園住居地域は、建物の高さが10mまたは12m以下に制限されていて、第一種・第二種低層住居専用地域と同レベルの厳しい規制がなされています。

 

 田園住居地域の制限

 

制限の一覧

建ぺい率詳細説明(%) 30、40、50、 60
容積率詳細説明(%) 50、60、 80、 100、150、200
絶対高さ制限詳細説明 10m または 12m
道路斜線制限詳細説明 適用距離 20m または 25m
勾配 1.25
隣地斜線制限詳細説明 立ち上がり
勾配
北側斜線制限詳細説明 立ち上がり 5m
勾配 1.25
日影規制詳細説明 対象建築物 軒高7m超 または 3階以上
測定面 1.5m
規制値 3-2h、 4-2.5h、 5-3h
外壁後退詳細説明 1m または 1.5m

高度地区、防火地域・準防火地域・法22条などは各自治体により制限内容が異なります。

 

◆制限の概要

第一種・第二種低層住居専用地域と制限の内容は同じで、絶対高さ制限と、隣地境界からの外壁後退の制限があります。
隣地斜線の制限は適用されていません。

 

 

 

 

 

 

 田園住居地域で建築可能な建物

各用途地域ごとに建築できる建物と建築できない建物があります。
田園住居地域では次の一覧表のようになっています。

 

建築可能な建物の一覧

建築物の用途 建築の可否
住宅・共同住宅
兼用住宅 ※1
幼稚園・小学校・中学校・高等学校
図書館
神社・寺院・教会
老人ホーム・保育所・身体障害者福祉ホーム
公衆浴場・診療所・保育所等
老人福祉センター・児童厚生施設 ※3
巡査派出所(交番)・公衆電話所(電話ボックス)
税務署・郵便局・警察署・保健所・消防署 ×※16
大学・高等専門学校 ×
病院 ×
店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が150㎡以内のもの
店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が500㎡以内のもの ※20
上記以外の物品販売業を営む店舗や飲食店 ×
床面積の合計が10,000㎡を超える店舗や飲食店 ×
上記以外の事務所等 ×
ボーリング場・スケート場・プール・バッティングセンター等 ×
ホテル・旅館 ×
マージャン屋・パチンコ屋 ×
カラオケボックス ×
自動車車庫(300㎡以下) ×※5
自動車車庫(300㎡超) ×
倉庫 ×
営業用倉庫 ×
自動車教習所 ×
劇場・映画館(客席部分の床面積の合計が200㎡未満) ×
劇場・映画館(客席部分の床面積の合計が200㎡以上) ×
キャバクラ・キャバレー・ナイトクラブ ×
ソープランド・ヌードスタジオ等 ×
自動車修理工場(50㎡以下) ×
自動車修理工場(150㎡以下) ×
自動車修理工場(300㎡以下) ×
工場(50㎡以下・危険性や環境を悪化させる恐れが非常に少ない) ×※18
工場(150㎡以下・危険性や環境を悪化させる恐れが少ない) ×
工場(150㎡を超えるまたは危険性や環境を悪化させる恐れがやや多い) ×
工場(危険性が大きいまたは著しく環境を悪化させる恐れがある) ×
危険物の処理・貯蔵施設、量が非常に少ない施設(ガソリンスタンド) ×
危険物の処理・貯蔵施設、量が少ない施設 ×
危険物の処理・貯蔵施設、量がやや多い施設 ×
危険物の処理・貯蔵施設、量が多い施設 ×
農産物の生産、集荷、処理施設
農産物や農業の生産資材を貯蔵する倉庫

※1 兼用住宅は延べ面積の1/2以上が住居で、店舗・事務所の部分が50㎡以下なら建築可。
※3 老人福祉センター・児童厚生施設などで、延べ面積600㎡以下なら建築可。
※5 独立車庫は禁止。付属車庫は600㎡以下で車庫以外の部分の面積以下、かつ1階以下は建築可。
※16 500㎡以下の郵便局は建築可。
※18 作業場が50㎡以下の食品製造業(パン屋・米屋など)は建築可。
※20 周辺の地域で生産された農産物の販売またはそれを材料にした料理の提供や、原材料とする食品の製造・加工をする場合に限る。

 

◆建築可能な建物の概要

第二種低層住居専用地域とほぼ同じで、150㎡以下の店舗や飲食店が建築可能となっていて、コンビニも建築できるようになっています。
また、床面積500㎡以下で2階建までの農業用施設(周辺の地域で生産された農産物の販売、料理の提供、製造・加工する施設)の建築も可能です。

 

 

 

 

 

 

 田園住居地域の特徴

 


田園住居地域の街並み


 

田園住居地域の例
田園住居地域の実例写真

写真の右側や奥の方に平屋や2階建ての住宅が、かなりゆったりとして建ち並んでいて、道路には農耕用車両が通ったらしき跡があります。
道路を挟んで農業用水路と田んぼが広がっています。

 

 


田園住居地域の概略


 

新たに追加された用途地域

田園住居地域は2018年4月に追加された用途地域で、田園住居地域に指定されている地域はまだ少ないです。
今後、第一種・第二種低層住居専用地域とその周辺で、生産緑地などの農地が残っているエリアが田園住居地域に指定されていく事でしょう。

 

農業の保護がメインではない

農業を守るための地域としては、既に市街化調整区域があるので、田園住居地域は都市部に残っている農地(農業ではなく)を保全し、宅地化を防ぐ事が目的の用途地域です。

 

農業用施設が建築できる

コンビニの様な床面積150㎡以下の店舗の他に、床面積500㎡以下の2階建までの農業用施設が建築できるようになっています。
具体的には、周辺の地域で生産された農産物を前提とした直販所やレストラン、製造・加工する施設などです。

 

2022年問題の対策

大都市圏の市街化区域の農地で、生産緑地に指定されると税制優遇が受けられる代わりに、地主は農業を営むことが義務付けられました。
指定されてから30年経過すると、自治体へ農地の買取を申出る事ができるようになります。そしてその指定の期限が切れ始めるのが2022年です
しかし、自治体は財政的に買取が困難なため、地主は農地を宅地として売りに出す事が予想されます。
そこで農地を保全するために、田園住居地域内の農地は簡単に宅地へ変更できないようになっています

 

のどかな生活

田園とは言っても学校や診療所、コンビニなど、生活に最低限必要な施設は建築可能になっているので、第一種低層住居専用地域よりも利便性は高いかも知れません。
自然に恵まれた、のどかな生活環境を好む人に向いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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