第一種住居地域の実例
第一種住居地域とは、住環境をメインにした地域ですが、中高層住居専用地域よりも制限が緩くなっています。
スーパーマーケット等の店舗や飲食店、事務所以外に、ホテルや小規模な工場も建築可能になっています。
第一種住居地域がどのような地域なのか、わかりやすく解説します。
第一種住居地域の詳細説明
第一種住居地域は住居の環境を保護するための地域。3000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。
例として、中規模のスーパー、小規模のホテル、中小の運動施設、その他中規模の店舗・事務所などがあるもの。
※ウィキペディアより引用
第一種住居地域の制限は、中高層住居専用地域で定められていた北側斜線が適用されておらず、高さの制限は中高層住居専用地域より、かなり緩やかになっています。
第一種住居地域の制限
制限の一覧
建ぺい率 （％） |
50、 60、80 | |
| 容積率（％） |
100、150、200、300、400、500 | |
| 絶対高さ制限 |
― | |
| 道路斜線制限 |
適用距離 | 20ｍ 、25ｍ、30ｍ、35ｍ |
| 勾配 | 1.25（1.5）※1 | |
| 隣地斜線制限 |
立ち上がり | 20ｍ、31ｍ ※2 |
| 勾配 | 1.25、2.5 ※2 | |
| 北側斜線制限 |
立ち上がり | ― |
| 勾配 | ― | |
| 日影規制 |
対象建築物 | 高さ10ｍ超 |
| 測定面 | 4ｍ、6.5ｍ ※2 | |
| 規制値 | 4-2.5h、 5-3h | |
| 外壁後退 |
― | |
高度地区、防火地域・準防火地域・法22条などは各自治体により制限内容が異なります。
※1 （ ）内の数値は第1・2種中高層地域（容積率限度400％以下）及び第1・2種住居地域（特定行政庁が指定する区域）に適用される。
※2 特定行政庁が都市計画会議の議を経て定める。
※3 日陰斜線の適用がある場合は除外される。
◆制限の概要
北側斜線の制限はありませんが、各自治体が高度地区を設定している場合があります。
日影規制は少し制限は緩くなりましたが、日当たりをある程度考慮し、住環境を保護しています。
第一種住居地域で建築可能な建物
各用途地域ごとに建築できる建物と建築できない建物があります。
第一種住居地域では次の一覧表のようになっています。
建築可能な建物の一覧
| 建築物の用途 | 建築の可否 |
| 住宅・共同住宅 | ◯ |
| 兼用住宅 | ◯ |
| 幼稚園・小学校・中学校・高等学校 | ◯ |
| 図書館 | ◯ |
| 神社・寺院・教会 | ◯ |
| 老人ホーム・保育所・身体障害者福祉ホーム | ◯ |
| 公衆浴場・診療所・保育所等 | ◯ |
| 老人福祉センター・児童厚生施設 | ◯ |
| 巡査派出所（交番）・公衆電話所（電話ボックス） | ◯ |
| 税務署・郵便局・警察署・保健所・消防署 | ◯ |
| 大学・高等専門学校 | ◯ |
| 病院 | ◯ |
| 店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が150㎡以内のもの | ◯ |
| 店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が500㎡以内のもの | ◯ |
| 上記以外の物品販売業を営む店舗や飲食店 | △※12 |
| 床面積の合計が10,000㎡を超える店舗や飲食店 | × |
| 上記以外の事務所等 | △※12 |
| ボーリング場・スケート場・プール・バッティングセンター等 | △※4 |
| ホテル・旅館 | △※4 |
| マージャン屋・パチンコ屋 | × |
| カラオケボックス | × |
| 自動車車庫（2階以下かつ300㎡以下） | ◯ |
| 自動車車庫（3階以上または300㎡超） | ×※7 |
| 倉庫 | △※12 |
| 営業用倉庫 | × |
| 自動車教習所 | △※12 |
| 劇場・映画館（客席部分の床面積の合計が200㎡未満） | × |
| 劇場・映画館（客席部分の床面積の合計が200㎡以上） | × |
| キャバクラ・キャバレー・ナイトクラブ | × |
| ソープランド・ヌードスタジオ等 | × |
| 自動車修理工場（50㎡以下） | △※19 |
| 自動車修理工場（150㎡以下） | × |
| 自動車修理工場（300㎡以下） | × |
| 工場（50㎡以下・危険性や環境を悪化させる恐れが非常に少ない） | ◯ |
| 工場（150㎡以下・危険性や環境を悪化させる恐れが少ない） | × |
| 工場（150㎡を超えるまたは危険性や環境を悪化させる恐れがやや多い） | × |
| 工場（危険性が大きいまたは著しく環境を悪化させる恐れがある） | × |
| 危険物の処理・貯蔵施設、量が非常に少ない施設（ガソリンスタンド） | △※12 |
| 危険物の処理・貯蔵施設、量が少ない施設 | × |
| 危険物の処理・貯蔵施設、量がやや多い施設 | × |
| 危険物の処理・貯蔵施設、量が多い施設 | × |
※4 該当部分が3,000㎡以下なら建築可
※7 独立車庫は300㎡以下で2階以下、付属車庫は車庫以外の部分の面積以下かつ2階以下は建築可。
※12 該当部分が3,000㎡以下なら建築可。
※19 空気圧縮機（原動機の合計＞1.5kW）を使用しないこと
◆建築可能な建物の概要
中高層住居専用地域では店舗や飲食店、事務所の建築可能な床面積は、第一種で500㎡以下、第二種で1500㎡以下まででしたが、第一種住居地域では3000㎡以下まで広げられています。
また、ホテルや旅館、小規模な工場も建築可能になっています。
第一種住居地域の特徴
第一種住居地域の街並み
第一種住居地域の実例写真
中高層住宅専用地域よりもマンションやアパートなどの集合住宅の割合が増え、建物が密集して建てられています。
店舗も点在し、写真の中には3階の戸建て住宅も見受けられます。
第一種住居地域の概略
比較的住宅が密集している
中高層住宅専用地域よりも高さの制限が緩やかになっているので、戸建やマンションが密集して建てられている地域です。
中高層住居専用地域より、人口密度が高くなっています。
比較的大きなスーパーの建築が可能
第二種中高層住居専用地域では店舗や飲食店の床面積は1500㎡以下まででしたが、第一種住居地域だと3000㎡以下まで建築可能です。
例えば食料品だけではなく、日用品などの売り場も充実しているような、比較的大きなスーパーマーケットでも建築可能です。
オフィスビルが建てられる
住居専用地域ではオフィスは建築不可だったり、2階建てまでの1500㎡以下に制限されていましたが、第一種住居地域では3000㎡以下であれば、オフィスビルを建てる事ができます。
もし、オフィスビルが建っていれば、外からそこで働く人が来るようになるので、それらの人を目当てに店舗もできて、賑やかな街並みになるでしょう。
色々な建物が混在
住宅用の用途地域ではありますが、50㎡以下の工場や、3000㎡以下のスポーツ施設も建築可能になっています。
マンションや2・3階建の戸建て、店舗やオフィスビル、そして小規模な工場やスポーツ施設などが混在し、少しゴチャとした感じの住宅街になります。
夜でも明るい
低層・中高層の住居専用地域より住宅以外の施設が多くなり、それに比例して街灯も多くなるので、夜道が明るくなって安心です。
パチンコ店の様な嫌悪施設は建てられないので、割と環境が良い上に利便性が高く、比較的住みやすい地域と言えるでしょう。
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