道路斜線のセットバック｜後退距離に含む？含まない？

外壁のラインが後退距離だと思われがちですが、建築物の最も道路に近い部分が後退距離のラインになります。

ですから図の場合、屋根の軒先の位置が後退距離になります。

バルコニーや出窓など、建物には様々な凹凸があるものです。

建築物の最も道路に近い部分が後退距離のラインになるので、図のように出っ張った所が後退距離の基準になります。

一つの敷地に2件の建物が建っている場合はどうなるでしょうか？

道路に近い方の建築物が、後退距離の基準となります。

物置、カーポート、自転車置き場の屋根などは次の条件が満たされていれば、後退距離の算定から除外されます。

• 軒高が道路の中心から2.3ｍ以下
• 面積の合計が5㎡以下
• Bの寸法が敷地の間口Aの5分の1以下
• 道路境界からの距離が1ｍ以上

カーポートは5㎡よりも広いので、条件を満たす事はできません。
カーポートを設置する場合は注意が必要です。

玄関ポーチの庇や屋根など、壁で囲まれていない箇所は次の条件が満たされていれば、後退距離の算定から除外されます。

• 庇や屋根の高さが道路の中心から5ｍ以下
• Bの寸法が敷地の間口Aの5分の1以下
• 道路境界からの距離が1ｍ以上

玄関ポーチの屋根は道路から1ｍ以上離れていなくてはなりませんが、屋根を支える柱の位置ではなく、軒先の位置になります。

道路境界沿いに建てた塀やフェンス、門などは次の条件が満たされていれば、後退距離の算定から除外されます。

• 塀や門の高さが道路の中心から2ｍ以下
• 道路の中心から1.2ｍを超える部分がフェンスなどの網状の物になっている事

道路に対し圧迫感を与えるような塀でなければ、建築物から除外しても良いという事です。

高さが2ｍあれば、人が敷地内に侵入する事はできませんし、上部がフェンスになっていて、敷地内の見通しが良くなっていれば防犯面でも有利です。

隣地境界に沿って設けた塀やフェンスは、後退距離の算定から除外されます。

図の場合は屋根の軒が出ていませんし、他に建築物が無いので、外壁の位置が後退距離になります。

歩廊や渡り廊下、その他これらに類する建築物の部分で、特定行政庁（各自治体で建築確認や違反建築物に対する措置などの業務を行う機関）がその地域の風土等を考慮して規則で定めた建築物の部分は、後退距離の算定から除外されます。

多雪地域などにおける「雁木（がんぎ）」、道路上に設けられる「公共用歩廊などと接続する部分など」も歩廊や渡り廊下に類する建築物の部分になります。

前面道路の路面の中心からの高さが1.2m以下の建築物の部分は、後退距離の算定から除外されます。

テラスやウッドデッキのような建築物がこれに当たります。