業務内容
住宅業界の情報
家づくりの知識
その他の基礎知識
サイトの管理人
(株)ポラリス・ハウジングサービス
代表取締役 高田公雄
YouTubeチャンネル
家づくりのノウハウがいっぱい
毎週金曜日に動画配信しています。
「道路斜線制限」は規定された斜線を超えて建築物を建てる事はできません。
しかし状況に応じて、セットバック緩和、1.25緩和、2方道路緩和、水面緩和、高低差緩和といった制限を緩和する措置もあります。
ここでは道路斜線制限の緩和について、図解をしながらわかりやすく解説します。
この記事は「建築申請memo(新日本法規出版)」
を参考に作成しました
建築法規の記事
その他関連記事
道路斜線制限には「セットバック緩和」「1.25緩和」「2方道路緩和」「水面緩和」「高低差緩和」の5つの緩和があります。
また、それ以外にも「天空率を使った緩和」もあります。
建築基準法では道路斜線のセットバック緩和について次のように定めています。
前面道路の境界線から後退した建築物に対する前項第一号の規定の適用については、同号中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは、「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。)に相当する距離だけ外側の線」とする。
※建築基準法 第56条2項
建物を道路ギリギリに建てるのではなく、セットバックして建てた場合、セットバックした後退距離と同じだけ、道路斜線の基点を道路の向こう側へ移動させる事ができます。
つまり、セットバックすると図の様に、より高い建物を建てられるようになります。
ただし、後退距離は建物の外壁ではなく、最も突出している部分で算出します。
ですから、屋根に軒が出ていれば、軒の先端が後退距離になるので、軒の出が大きい建物は不利になります。
ところで、建物から突出していたとしても、後退距離の算定から除外できる建築物もあります。
例えば、玄関ポーチの庇などの場合は、道路境界から1m以上離れていて、幅が敷地間口の5分の1以下などの条件が揃えば除外できることになっています。
その他、除外できる建築物が沢山あります。
詳しくはこちら
1.25緩和は用途地域が第一種・第二種低層住居専用地域で、前面道路の幅員が12m以上の場合に適用されます。
前面道路の幅員の1.25倍のラインまでは通常の 1:1.25 の傾斜勾配なのですが、1.25倍のラインより向こうは 1:1.5 の勾配になります。
セットバックした距離と同じだけ道路の向こう側に基点を移します。
そこからセットバックしたラインまでの距離を仮想道路幅とみなして、1.25倍のラインまでは通常の傾斜勾配の1:1.25で、そこから向こうは1:1.5の勾配になります。
建築基準法では道路斜線の2方道路緩和について次のように定めています。
建築物の敷地が二以上の道路に接し、 ~(中略)~ その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。
※建築基準法 第56条6項
角地の様な複数の道路に接する敷地は、両方の道路から道路斜線が掛かってくるので普通の敷地より制限が厳しくなってしまいます。
その救済措置として2方道路緩和があります。
道路斜線を次の手順で導き出します。
これをわかりやすく立体にすると、この様になります。
建築基準法では道路斜線の水面緩和について次のように定めています。
(前略)~ 又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合、 ~(中略)~ その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。
※建築基準法 第56条6項
前面道路の向こうが水面(川や池)、または公園や広場になっている場合、道路の採光や通風を確保しやすいので制限が緩和されます。
水面(川や池)、または公園や広場の向こう側の境界線まで、道路斜線の基点を移動させる事ができます。
もし、セットバックして建てると、セットバックした距離と同じだけ、向こう側の川の境界よりも更に向こうへ道路斜線の基点を移動させられます。
建築基準法では道路斜線の高低差緩和について次のように定めています。
(前略)~ 建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。
※建築基準法 第56条6項
道路面より敷地の地盤面の方が1m以上高くなっている場合、道路斜線の制限があまりにも厳しくなってしまうので、緩和措置があります。
道路面と地盤面の高低差から1mを引き、残りの2分の1の高さに道路面があるとみなして、道路斜線を設定します。
式にすると次のようになります。
緩和道路面=(高低差-1m)÷2
もし、高低差が2mだとすれば、
(2-1)÷2=0.5m
・・・で、実際より0.5m高い位置に道路面があるとみなして道路斜線を設定します。
建築基準法施行令では道路斜線の天空率について次のように記載されています。
当該建築物の第百三十五条の九に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内において道路高さ制限に適合するものとして想定する建築物の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること。
※建築基準法施行令 第135条の6 1項1号
天空率とは、魚眼レンズで天空を見上げた状態(正射影投影)で、空が占める割合のことです。
道路斜線制限ギリギリに建てた建築物を適合建築物として想定します。
そして、前面道路の反対側を測定ポイントとして、天空率を求めます。
適合建築物の天空率を基準として、これから建てようとする計画建築物から求めた天空率の方が大きければ(空の面積が大きければ)、道路斜線の制限を満たしている事になります。
図の様に、計画建築物が道路斜線を超えてしまっていても、天空率が適合建築物より大きければ、違反にはなりません。
なお、道路斜線の測定ポイントは次の通りです。
算定ポイントの全てで、天空率をクリアしていなければなりません。
★オススメの記事
このホームページに記載してある情報は自由に使用ていただいて結構です。 ただ、WEB上で引用される場合は、 「家づくりを応援する情報サイト」からの引用である事を記載して、 更に、このホームページへのリンクをしてください。 どうかよろしくお願いします。
このサイトの管理者
株式会社ポラリス・ハウジングサービス
代表取締役 高田公雄
京都市東山区泉涌寺東林町37-7
株式会社ポラリス・ハウジングサービスは「住宅相見積サービス」を運営し、京都・滋賀・大阪・奈良で注文住宅を建てる人を第三者の立場でサポートする会社です。