隣地斜線の緩和|セットバック・水面・高低差・天空率



 

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隣地斜線の緩和

 

隣地の日照、採光、通風を妨げないために、設定された隣地斜線制限ですが、隣地斜線制限にはセットバック緩和、水面緩和、高低差緩和という、敷地の状況に応じた緩和措置があります。

また、隣地斜線制限は天空率を使って緩和させる事もできます。

ここでは隣地斜線の緩和について、図解をしながらわかりやすく解説します。

 

この記事は建築申請memo(新日本法規出版)を参考に作成しました

【目次】隣地斜線


 

 

 

 

 

 

 

隣地斜線制限の緩和の詳細

 

隣地斜線制限には「セットバック」「水面」「高低差」の3つの緩和があります。

また、道路斜線や北側斜線と同様に「天空率」を使って緩和する方法もあります。

 

 隣地斜線のセットバック緩和

 

建築基準法施行令では隣地斜線のセットバック緩和について次のように記載されています。

当該建築物の隣地境界線からの後退距離(同号に規定する水平距離のうち最小のものに相当する距離をいう。以下この号において同じ。)が、前号の隣地高さ制限適合建築物と同一の隣地高さ制限適合建築物(同項第二号イ又はニに定める数値が一・二五とされている隣地高さ制限適合建築物にあつては高さが二十メートルを、同号イからニまでに定める数値が二・五とされている隣地高さ制限適合建築物にあつては高さが三十一メートルを超える部分に限る。)の隣地境界線からの後退距離以上であること。

※建築基準法施行令 第135条の7 1項2号

 

 

セットバックによる隣地斜線の緩和

 

住宅系の用途地域では20m、その他の用途地域では31mよりも高い部分を隣地境界よりセットバックさせると、その距離に応じて制限が緩和されます。

本来の隣地境界線よりも、セットバックした距離と同じだけ、隣地斜線を外側に移動させる事ができます。

この図の場合、黄色の部分が緩和された事になります。

 

 

 隣地斜線の水面緩和

 

建築基準法施行令では隣地斜線の水面緩和について次のように記載されています。

建築物の敷地が公園、広場、水面その他これらに類するものに接する場合においては、その公園、広場、水面その他これらに類するものに接する隣地境界線は、その公園、広場、水面その他これらに類するものの幅の二分の一だけ外側にあるものとみなす。

※建築基準法施行令 第135条の3 1項1号

 

 

水面による隣地斜線の緩和

 

敷地が水面(川や池)、公園や広場などに接していると隣地斜線制限が緩和されます。

例えば隣が川だった場合、川の幅員の2分の1の場所に隣地境界があるとみなして隣地斜線を設定します。

これが川ではなく、公園や広場でも同じように緩和され、名称も水面緩和と呼びます。

 

 

 隣地斜線の高低差緩和

 

建築基準法施行令では隣地斜線の高低差緩和について次のように記載されています。

建築物の敷地の地盤面が隣地の地盤面より一メートル以上低い場合においては、その建築物の敷地の地盤面は、当該高低差から一メートルを減じたものの二分の一だけ高い位置にあるものとみなす。

※建築基準法施行令 第135条の3 1項2号

 

 

敷地の高低差による隣地斜線の緩和

隣地の地盤面の方が1m以上高くなっている場合、隣地に対する日照、採光、通風への影響が減るので、制限が緩和されます。

地盤面の高低差から1mを引き、残りの2分の1の高さに地盤面があるとみなして隣地斜線を設定します。

式にすると次のようになります。

緩和地盤面=(高低差-1m)÷2

もし、高低差が1.6mだとすれば、
(1.6-1)÷2=0.3m
・・・で、実際より0.3m高い位置に地盤面があるとみなして隣地斜線を設定します。

 

 

 隣地斜線の天空率を使った緩和

 

建築基準法施行令では隣地斜線の天空率について次のように記載されています。

当該建築物(法第五十六条第七項第二号に掲げる規定による高さの制限(以下この章において「隣地高さ制限」という。)が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。)の第百三十五条の十に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内の同一の地盤面において隣地高さ制限に適合するものとして想定する建築物(隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限り、階段室等及び棟飾等を除く。以下この章において「隣地高さ制限適合建築物」という。)の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること。

※建築基準法施行令 第135条の7 1項1号

 

 

天空率とは、魚眼レンズで天空を見上げた状態(正射影投影)で、空が占める割合のことです。

隣地斜線制限は道路斜線や北側斜線と同様に、天空率によって制限を緩和させる事ができます。

隣地斜線の適合建築物の天空率

 

まず、図の緑色の適合建築物を想定します。

適合建築物とは隣地斜線制限で建築可能な範囲内ギリギリの状態を空間に描いた架空の建築物の事です。

そして、規定されている測定ポイントで、適合建築物の天空率を算定します。

隣地斜線の天空率の緩和

 

これから建てようとする建物を計画建築物といいます。

その計画建築物の天空率と、先に求めた適合建築物の天空率とを比較します。

比較した結果、

計画建築物の天空率 ≧ 適合建築物の天空率

つまり、計画建物の天空率で求めた空の広さが適合建築物よりも広ければ、隣地斜線からはみ出していたとしても、隣地斜線制限を違反していない事になります。

 


北側斜線における天空率の測定点


隣地斜線の高低差緩和

 

隣地斜線制限の天空率を求める測定点は、用途地域によって異なります。

 

住宅系の用途地域
  • 隣地境界の外側16mのライン
  • ライン上でピッチが8m以内で均等割り

 

住宅系以外の用途地域
  • 隣地境界の外側12.4mのライン
  • ライン上でピッチが6.2m以内で均等割り

 

全ての測定ポイントで、天空率をクリアしていれば、隣地斜線規制をクリアしている事になります。

 

 

 

その他、隣地斜線について

 

他の建築法規についてはこちら

 

 

 

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