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家づくりをするに当たり、リビング階段の採用を検討されている方は多いでしょう。
私が家づくりをお手伝いした方々も、半数の方はリビング階段を採用されています。
リビング階段を採用する際には、メリットとデメリットをしっかりと把握しておきましょう。
家づくりをするに当たり、リビング階段の採用を検討されている方は多いでしょう。
私が家づくりをお手伝いした方々も、半数の方はリビング階段を採用されています。
リビング階段を採用する際には、メリットとデメリットをしっかりと把握しておきましょう。
リビング階段を採用するメリットとして、家族のコミュニケーションを取りやすくするため‥‥という事があります。
2階の個室へ行くためには、必ずリビングを通らなければならないので、 家族が自然と顔を合わせるようになる。
一方で、リビング階段のデメリットとしてよく言われているのが、 冬場、2階から階段を通して、冷気がリビングに降りてくる‥‥。
ネットでも、書籍でも、冬の寒さについてのデメリットはひじょうに多く取り上げられています。
実は私自身、自宅にリビング階段を採用しましたし、リビング階段の住宅を何軒も建ててきました。
私のこれまでの経験としは、一般的によく言われているリビング階段のメリットとデメリットが、チョッと違っているように感じます。
そこでここでは、私自身が体験した、リビング階段のメリットとデメリットをご紹介します。
リビング階段を採用する際には、メリットとデメリットをしっかり把握した上で判断する事が重要です。この動画では、世間一般に言われているメリットとデメリットがちょっと違っている事をわかりやすく解説しています。
動画をご覧頂ければ、リビング階段の本当のメリットとデメリットをご理解いただけるかと思います。
動画長さ:8分32秒
まず、初めにリビング階段とは何かを説明します。
階段をリビングの中に取り入れて、2階の個室へ行くためには、
必ずリビングを通らなければならないようになっている階段のことです。
ここで、典型的な事例をご紹介します。
上が、リビング階段ではない普通の間取り。
下が、階段をリビングに取り込んだ、リビング階段の間取り。
リビング階段ではない間取り
リビング階段の間取り
先の2つの間取りは、階段がリビングに取り込まれているか、いないかの違いだけで、階段以外は全て同じ間取りです。
こうして、間取り図を見ただけではよく分かりません。
そこで、それぞれの内観図をご覧ください。
リビング階段ではない間取り
リビング階段の間取り
一見して、明らかにお分かりいただけるかと思います。
リビング階段の最大のメリットは、視覚的効果です。
リビング階段ではない内観よりも、リビング階段になっている方が開放感があります。
リビングとして利用できる空間の広さは、どちらも同じですが、リビング階段にすると広く感じます。
また、階段が空間のアクセントとなって、お洒落な演出をしてくれます。
リビング階段には様々なデメリットがありますが、それ以上に、この演出効果に大きな価値を感じられるのでしたら、ぜひリビング階段をご採用ください。
では、リビング階段には、どんなデメリットがあるのでしょうか?
リビング階段を採用したがために、「冷暖房の効きが悪い」という話はよく聞きます。
特に冬場はリビング階段を通って、冷気が降りてきて、非常に寒く、ロールカーテンなどで遮蔽したりなど、非常に苦労している人が多いようです。
しかし、それは家の断熱性能によります。
家の断熱性能が良ければ、寒さを感じる事は一切ありません。
では、どの程度の断熱性能があれば寒さを感じないのか?
住宅の断熱性能はUA値という数値で表されます。
UA値について詳しくは
外皮平均熱貫流率(UA値)とは
最低でも経済産業省が推奨する「ZEH(ゼッチ)」の断熱基準をクリアしている必要があります。
「ZEH(ゼッチ)」の断熱基準は次の様になっています。
「ZEH(ゼッチ)」について詳しくは
ZEH(ゼロエネルギー住宅)とは
地域区分 | 1地域 | 2地域 | 3地域 | 4地域 | 5地域 | 6地域 | 7地域 |
UA値(W/m2K) | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
上の表の1~7地域は
地域区分で、概ね次のように区分されています。
地域区分 | 都道府県 |
1地域 | 北海道 |
2地域 | 北海道 |
3地域 | 青森県 岩手県 秋田県 |
4地域 | 南東北 北関東 信越 |
5地域 | 南関東 東海 北陸 近畿 中国 四国 九州 |
6地域 | 南関東 東海 北陸 近畿 中国 四国 九州 |
7地域 | 沖縄県 |
断熱性能の優れた家であれば、リビング階段があると、1階と2階の温度差が少なくなる効果があるので、むしろ積極的にお勧めします。どうせなら、リビングに大きな吹抜けを設けるければ、なお良いでしょう。
吹抜けを設けると、更に空間の広がりを感じられるようになり、視覚的効果も向上します。
下の内観図は、先にご紹介したリビングに吹抜けを設けた絵です。
吹抜けとリビング階段の場合
リビング階段だけの場合
このように比較すると、視覚的効果がよくお分かりいただけるかと思います。
ただ、断熱性能を高めると、住宅の建築価格も比例して高くなります。
予算の都合で、あまり断熱性能を高める事ができないのでしたら、リビング階段は辞めた方が良いでしょう。
リビング階段を採用する理由として最も多いのが、 「家族のコミュニケーションを取りやすくするため」
例えば子供が学校から帰ってきて、2階の個室に行く際に、必ず家族のいるリビングを通らなければならないので、自然と家族がコミュニケーションを取れるという訳です。
なんとなく、リビング階段は良さそうな気がします。
でも、リビング階段でない家で育った子供は、グレやすかったりするのでしょうか?
リビング階段でない家だと、家族のコミュニケーションが少なくなる傾向があるのでしょうか?
‥‥おそらく、統計を取ったとしても、明らかな違いは出てこないでしょう。
しかし、静岡大学の外山知徳教授による研究で、家の間取りや家具の配置によって、子供の精神的成長に影響を与える事がわかっています。
リビング階段になっている家に引っ越した事で、親子の関係が改善した事例もあるようです。
外山教授の「家族の絆をつくる家」によると、最も重要なのは子供の居心地であり、親の子供に対する姿勢のようです。
リビング階段を純粋に家族のコミュニケーションを目的として採用するのであれば、良い結果が期待できるかもしれません。
しかし、例えば子供を監視する事が主な目的だとしたら、子供は必ずそれを感じ取ってしまいます。すると「親が自分を信用してくれない」事の象徴として、リビング階段を捉えてしまうでしょう。
そうなると、不登校になったり非行に走ったりなど、全く逆の結果になってしまう可能性があります。
リビング階段は諸刃の剣です。用い方によって、全く違う結果が生じてしまうでしょう。
今、リビング階段を採用しようと思われているのでしたら、子供に対する自分の姿勢を見つめ直し、どうするのか検討してみてください。
先述した通り、リビング階段が家族のコミュニケーションを取りやすくするという事については、親の子供に対する姿勢次第で、メリットにもデメリットにもなります。
よく言われている、リビング階段が寒いというのは、家の断熱性能が良ければ全く問題ありません。
むしろ、1階と2階の温度差が少なくなるのでメリットと言えます。
では、リビング階段の決定的なデメリットは無いのでしょうか?
いえ、あります。最大のデメリットはこんな場面です。
休日の朝、お父さんはパジャマ姿のままリビングに寝ころび、テレビを見てリラックスしています。
髭も剃らず、髪の毛も寝癖で立ったままです。
(どこの家庭でも、よくあるシチュエーションですよね)
そこへ、「ピンポーン」‥‥と呼び鈴が鳴りました。
インターホンのカメラには、何やら小学生らしき数人の女の子の姿が‥‥。
どうやら、娘の友達が、家へ遊びに来たようです。
お父さんとしてみたら、平日は仕事に追われ、せっかくの休日ぐらいダラダラと過ごさせて欲しいですよね。
でも、リビング階段なので娘の友達は、必ずリビングを通って、娘の部屋に行くことになります。
ですから、お父さんは慌てて着替えて、寝癖を直さなくてはなりません。
リビングが散らかっていたら、慌てて片付けなくてはなりません。
「どうせ子供なんだから、気にする必要は無い」などと思ってはいけません。
私の娘が小学生だったころ、突然、友達が家に来たなんて事は日常茶飯事でしたし、逆に娘も友達の家に遊びに行ってました。
そして、晩御飯の時に娘はこんな事を言うのです。
「今日、誰々ちゃんの家に遊びに行った。お父さんがいて髪の毛がボサボサだった。」とか 、
「家がすごく散らかっていた」とか、その家の様子を事細かに話してくれるのです。
ゾッとしませんか?
娘も大きくなれば、友達を招く時は事前に教えてくれる様になりましたが、若い女の子が必ずリビングを通るとなると、なんだか落ち着きません。
社交的なお子さんであれば、お友達同士お互いに家へ招いたり、招かれたりするようになるでしょう。
もはや、リビングでリラックスすることはできないので、休日は一人、寝室で過ごすことになって、家族のコミュニケーションを取りやすくするために採用したリビング階段だったのに、結局、お父さんは寝室に籠って、家族とは次第に疎遠になって行く‥‥。
これでは本末転倒です。
もし、娘に来客があっても、気にしないお父さんだったらどうでしょう。
娘さんにしてみたら、だらしない父親の姿や散らかったリビングを友達には見せたくないですよね。
ですから、友達の家に遊びに行く事はあっても、友達を家には招きたくなくなるでしょう。
それでは、良い友達関係を築くのは難しくなっていきます。
リビング階段にするのであれば、休日でも身なりを整え、リビングは常に片付けておく必要があります。
その事を頭に入れて、リビング階段の採用をご検討ください。
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