【相続】遺言書の種類と効力
自筆証書・公正証書・秘密証書



 

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遺言書の種類と効力

 

自分の死後、誰にどの財産をどれだけ与えるのか書き残しておくのが遺言書です。

遺産分割でトラブルにならない様にするため、あるいは法定相続人以外の人へも財産を分配するため、意思表示をしておくのが遺言書の主な目的です。

遺言書の方式には主に自筆証書、公正証書、秘密証書の3種類があり、それぞれ効力は同じですがメリットとデメリットがあります。

ここでは遺言書についてわかりやすく解説します。

 

遺言書の目次


 

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遺産相続のメニュー配偶者と子供で分け合う
 ‥‥最も基本的な相続の形

遺産相続のメニュー子の代わりに孫が相続
 ‥‥代襲相続とは

遺産相続のメニュー相続の承認と放棄
 ‥‥プラスとマイナスの遺産

遺産相続のメニュー子供がいない場合
  ‥‥第二・第三順位

遺産相続のメニュー遺産分割と期限
   ‥‥遺産をどう分割するか

遺産相続のメニュー遺言書の種類と効力
  ‥‥3種類の遺言書とそれぞれの特徴

遺産相続のメニュー遺留分とは何か
  ‥‥相続人に最低限保証された取り分

遺産相続のメニュー相続税
  ‥‥いくら相続税がかかる?

 

 

 

 

遺言の効力

 

遺言の効力が生じるのは、基本的に遺言者が死亡した時からになります。

もし、遺言に停止条件が付いている場合は、条件が成就した時からになります。
例えば「孫が成人したら土地と建物を遺贈する」という条件があれば、孫が成人してから遺言の効力が生じる事になります。

  1. 遺言は、 遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
  2. 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

民法 第985条

 

では、遺言書の効力とはどのようなモノなのでしょうか?

 

 


法定相続より遺言が優先


 

遺産相続では被相続人の意思を尊重するのが原則なので、生前に財産の分配について遺言書を残していれば、法定相続よりも優先されます。

 

もし、遺言書が無ければ、相続人全員で遺産分割協議をして、それぞれの相続人が法定相続分の権利を主張できます。

しかし、遺言書があれば、たとえ自分の取り分が法定相続分を下回っていたとしても、遺留分を侵害していない限り文句は言えません。

 

遺言書を無効にする事もできますが、その場合は法定相続人と受遺者(相続人ではないが遺言書により遺産を受け取る人)の全員が合意しなければならないので、結構困難です。

 

遺言書の目的

遺言書は法定相続よりも優先されるだけの効力を持っているので、主に次の目的のために作成されます。

  • 遺産分割の際に争う事のないようにする
    相続人が複数いる場合、不動産や高価な宝飾品、現金や株券など、それぞれを誰にどれだけ相続させるか、予め決めておけば、相続人の間で争う事なくスムーズに遺産分割ができます。
     
  • 法定相続人以外の人にも財産を分ける
    例えば、正妻と死に別れた後に、ずっと寄り添い続けてくれた内縁の妻へ財産を分けたいと思っていたとします。そこで、その意思表示を遺言書に記載しておけば、法定相続人ではない内縁の妻にも財産を渡す事ができます。

 

 


遺言が有効となる年齢制限


 

例えば、小学生の子が財産を持っていたとして、遺言を残したとしても有効ではありません。
それは、年齢が低いと、充分な判断能力が備わっていないからです。

では、いくつから判断能力があるとされるのか?

 

民法では遺言の年齢制限について次のように定められています。

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

民法 第961条

 

遺言が有効となるのは15歳以上となっています。

もし、15歳は未成年者だからと言って親が遺言書を代筆したとしたらどうなるか?

それは無効になってしまいます。


物品の売買をする場合、未成年者を保護するという観点から、15歳だと親権者の同意を得なければなりません。しかし、遺言の場合は15歳以上であれば本人の意思だけでOKなのです。

その理由は2つ

  • 未成年者を保護するのはより良く生きられるようにするためですが、遺言が効力を発揮するのは死後なので保護する必要がない
  • 親は利害関係者になるので、本人の意思表示に影響を与えるべきではない。

 

 


胎児にも財産を渡せる


 

民法第886条で次のように定められています。

  1. 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
  2. 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

民法 第886条

 

つまり、原則として被相続人が亡くなった時点で生存していない人は相続できません。
しかし、胎児はまだ生存していませんが、相続する事ができます。

ですから、相続人ではない胎児にも、遺言で遺産を与える事ができます

 

例えば、息子の嫁が孫を妊娠していたとします。
しかし、主治医から余命宣告を受け、自分の死後に孫が産まれてくるような場合 、胎児である孫は相続人ではありませんが、遺言書を作成して遺産を与える事ができます。

※胎児は相続税が200万円控除されるので、息子に直接相続するよりも有利になります。

詳しくはこちら→未成年者控除

 

 


いつでも撤回できる


 

民法第1022条で次のように定められています。

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

民法 第1022条

 

遺言を公開したとしても、いつでも何度でも撤回できます

ですから、遺言書に胎児である孫に財産を分けると記載したものの、後で「やはり胎児胎児の孫ではなく、愛人に分ける事にしよう」と思い直したとしたら、その遺言書を撤回して、新たに遺言書を書き直しても、何ら問題はありません。

もし、複数の遺言書があったとしたら最も新しい遺言書が有効となります。

 

 

 

 

 

 

遺言書の種類と優劣

 

遺言が効力を生じるのは遺言者の死後なので、その時には遺言者の意思表示を確認する事はできません。
ですから遺産分割の際に混乱が生じないよう、遺言書は法律で定められた方式に則って正しく作成しなければなりません。

もし、不備があれば遺言書は効力を失ってしまいます。

遺言書の方式として一般的なのは普通方式遺言で、普通方式遺言には3種類の方式があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

 

 3種類の遺言書(普通方式遺言)

 

◆自筆証書遺言

最も一般的な遺言書で、被相続人が自分で作成する遺言書です。
紙にペンで遺言を書き、捺印すればいいだけなので、費用も掛からずお手軽です。
ただし、内容が曖昧であったり、書き間違えなどで、遺言書が無効になってしまう可能性があります。

保管方法 被相続人が自分で保管
あるいは法務局で保管
費用 不要(0円)
証人 不要
家庭裁判所の検認 原則必要
法務局保管の場合は不要

 

自筆証書遺言の条件
  • 遺言書の全文が遺言者による自筆であること(代筆やワープロは不可)
    ただし、財産目録は代筆やワープロでもOK
  • 日付と氏名の自署
  • 捺印(実印でなくても良い)

 

◆公正証書遺言

公証人役場で作成する遺言書です。
相続財産が多額な場合は、公正証書遺言を利用するのが一般的です。
公証人が法律に則って作成してくれるので、確実に有効な遺言書を残す事ができます。

保管方法

原本は公証人
正本は遺言執行者
謄本は遺言者
※正本と謄本は遺言者により決めることが可能

費用

公証人へ数万円~十数万円
(財産の額による)
+証人への支払い

証人 2人以上必要
家庭裁判所の検認 公証人が作成した文書なので不要

 

◆秘密証書遺言

遺言書の内容を秘密にしたい。亡くなるまで誰にも知られたくない場合に作成する遺言書です。
公証人役場で作成手続きをしますが、遺言書の内容は公証人にも知られずに作成できます。
ただ、あまり利用される事はありません。

保管方法 被相続人が自分で保管
費用 公証人へ11000円+証人への支払い
証人 2人以上必要
家庭裁判所の検認 必要

 

秘密証書遺言の条件
  • 代筆やワープロでもOK
  • 氏名の自署と捺印(実印でなくても良い)
  • 上記と同じ印章で証書を封印する
  • 公証人が証書の提出日付と遺言者の申述を封紙に記載し、遺言者と証人が署名捺印する

 

 


3種類の遺言書の効力は?


上記の3種類の遺言書の内、最も効力があるのはどれか?

実はどれも効力は同じです。
遺言書の有効性は種類で決まるのではなく、最も後で作成されたものだけが有効で、それ以外の遺言書はどの種類であろうと無効です。

 

 


遺言書の検認


 

民法第1004条で次のように定められています。

  1. 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
  2. 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
  3. 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

民法 第1004条

 

被相続人が亡くなって、遺言書を発見あるいは保管していた人が家庭裁判所へ遺言書を提出し、検認という手続きをします

家庭裁判所が相続人立会いの下で遺言書を開封し、内容を確認する事で、遺言書の偽造を防ぐ事ができます。

検認は遺言書が有効か無効かを判断する手続きではありません
相続がスムーズに行われるようにするための手続きです。

公正証書遺言の場合は既に公証人のお墨付きをもらっているので、家庭裁判所による検認は必要ありません

なお、自筆証書遺言書においても、法務局で遺言書を保管してもらう事で、検認の手続きは必要がなくなります。(2020年7月10日より)

 

 

 

 

 

上記にてご紹介した3種類の普通方式遺言の他の遺言方式があります。

 特別方式遺言

何らかの理由によって、普通方式遺言が不可能な場合の遺言方式です。

 

◆一般危急時遺言

病気などにより死亡の危急が迫った人の遺言方式になります。

  • 3人以上の証人が必要
  • 遺言者が証人に遺言を口授し、証人の一人ががそれを筆記する
  • 筆記した遺言を遺言者と他の証人に読み聞かせるか、あるいは閲覧させて署名捺印する
  • 20日以内に家庭裁判所に請求して確認を得る

 

◆難船危急時遺言

船舶遭難者の遺言方式になります。

  • 2人以上の証人が必要
  • 遺言者が証人に遺言を口授し、証人の一人ががそれを筆記する
  • 証人は筆記した遺言に署名捺印する
  • 遅滞なく家庭裁判所に請求して確認を得る

 

◆一般隔絶地遺言

伝染病などにより行政が交通を断ち、隔離された場所にいる人の遺言方式になります。
刑務所に服役している人や災害地の被災者もこの遺言方式をする事が可能です。

  • 警察官1人と証人1人以上の立ち合いが必要
  • 家庭裁判所の確認作業は不要

 

◆船舶隔絶地遺言

遠洋漁業や豪華クルーズ船などの船舶に乗っていて、陸地から離れている人の遺言方式です。

  • 船長または事務員1人と証人2人以上の立ち合いが必要
  • 家庭裁判所の確認作業は不要

 

ここで紹介した4種類の特別方式遺言について、民法第983条で次のように定められています。

第976条から前条までの規定によりした遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになったときから6ヶ月間生存するときは、その効力を生じない。

民法 第983条

 

 

 

 

遺言書が撤回されるケース

 

遺言書さえ残しておけば、その通りに遺言者の意思表示が実行されるのでしょうか?

 


正式な遺言書よりも、新しい意思表示の方が有効


 

民法第1024条に次のような記載があります。

遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。

民法 第1024条

 

遺言は何度でも撤回できますし、その都度、遺言書は何度でも書き直せます。
そして、常に最新の遺言が有効となります。

ただし、民法第1024条によれば最新の遺言書を作成して保管してあったとしても、次のような場合、遺言書は撤回されたとみなされます

 

遺言書の撤回

 

法律では遺言者の最後の意思を尊重することになっています。

例えばAがBに土地を相続させるという遺言書を作成したとします。

しかし、その後にAはその土地をCへ譲渡してしまったとしたらどうなるか?

その場合、遺言書に記載された内容よりも、Cにその土地を所有させる事が、Aの最後の意思とみなされ、遺言書は撤回される事になります。

仮に、その遺言書に
「これが最後の遺言であり、撤回することはない」
と記載されていたとしても、撤回したことになってしまいます。

たとえそれが、自筆ではなく、正式に公証人役場で作成してもらった公的文書の遺言書であっても、 土地を譲渡したという最も新しい意思表示の方が有効となります。

 

 

 

 

 

遺言書に他人へ遺贈すると書かれていたら?

 

遺言書に法定相続人ではない他人に、「財産の一部を遺贈する」と書いてあったらどうなるのでしょうか?

もちろん、遺言により他人へ財産を遺贈する事はできるのですが、状況によっては遺贈できない場合があります。

 


普通なら遺言書の通りに


 

Aが最後の遺言書を残して死亡。
その遺言書には、A所有の土地と建物をCに遺贈すると書かれていた。
そして、Aには息子のBがいる場合、どうなるか?

遺言書の遺贈者と相続人が異なる場合

遺言書が無ければ、相続人であるBが土地と建物を譲り受ける事になりますが、その様な遺言書があれば、土地と建物はCのものになります。

ただし、それでもCの状況次第でBが相続する事になります。

 

 


遺贈できないケース


 

Cが遺贈を放棄した場合

息子のBがその土地と建物を相続する事になります。

※Cは承認も放棄も自由に選択できますが、一度どちらかの意思表示をしたら、後で勝手に撤回することはできません。

 

CがAよりも先に死亡した場合

息子のBがその土地と建物を相続する事になります。
ちなみにCに子供がいたとしても、その子供が代わりに相続する事(代襲相続)はできません。

 

遺言に条件が付いていた場合

条件とは、例えば「Cが成人したら その土地と建物を遺贈する」と言うようなもの。
当然、条件が揃ってから遺言の効力が生じます。
ただし、条件が揃う前にCが死亡した場合は遺言は無効になり、Cに子供がいたとしても、その子供が代襲相続することはできません。

 

 

 

 

 

 

遺言によって、法定相続人以外の他人にも遺産を遺贈させる事ができます。では赤の他人に全財産を遺贈すると遺言書に書いてあったらどうなるか?実は法定相続人には最低限保証されている遺産の取り分があり、それを遺留分と言います。「次のページ」で遺留分について、わかりやすく解説します。

 

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