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相続の際に付き物なのが遺産分割です。
遺産が現金であれば簡単に分け合えますが、遺産と言っても、土地や住宅、車など、簡単には分けられない色々なものがあるのが普通です。
そこで、誰が何をもらうのかを決めるのが、遺産分割です。
基本的に遺産分割には期限はありません。全員が同意するまで協議しますが、配偶者は配偶者居住権で権利が守られています。
このページでは遺産分割についてのあれこれを、わかりやすく解説します
遺産分割の目次
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民法第906条
遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
※WIKIBOOKSより引用
遺産が現金であれば簡単に分け合えますが、 遺産と言っても、土地や住宅などの不動産、その他、車や宝飾品など、簡単には分けることができないものが色々とあるのが普通です。
そこで、それぞれの相続人の生活状況などの事情を考慮しながら、誰が何をもらうのかを協議して決めるのが遺産分割です。
配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として,終身又は. 一定期間,配偶者に建物の使用を認めることを内容とする法定の権利。
※法務省資料「配偶者居住権について」より引用
※2020年4月1日施行
もし法定通りに遺産分割をしようとした場合、土地と建物以外の財産が十分でないと、自宅を処分しなければならなくなったり、配偶者がその後の生活資金に窮する状況が起こり得ます。
次の様な例を見てみましょう。
遺産が3000万円あり、その内訳は
土地と建物の評価額が2000万円、現金が1000万円。
相続人は妻と息子の2人だけで、息子はすでに結婚し、遠いところで暮らしている様な状況だったとします。
妻としては長年夫婦で暮らした家を相続し、そのまま住み続けたいと思い、息子には現金1000万円で我慢してくれないかとお願いしました。
しかし、妻は嫁(息子の奥さん)と仲が悪かったので、嫁の意のままの息子から、法定相続分の通りに1500万円ずつ遺産分割するよう主張されてしまったらどうなるか?
妻がどうしても家を相続したいのであれば、法定相続分に足りない500万円を子供に支払わなければなりません。
そうなると、住む場所は確保できたものの生活資金に困窮してしまいます。
もし、500万円を支払えない場合は、家を売却して換金しなければならず、妻は住む場所を無くし、不安を抱えて生きていく事になってしまいます。
しかし、「配偶者居住権」を利用する事で、妻はこの状況を打開する事ができます。
例えば、家を「配偶者居住権」1000万円と「所有権」1000万円に分割します。
(実際はそれぞれの権利に対する評価額は建物の築年数や配偶者の年齢などで変わってきます)
そして、妻が「配偶者居住権」を、子供が「所有権」を相続します。
更に現金をそれぞれが500万円ずつ相続する事になるので、妻としては、これまで通り家に住み続ける事ができるだけでなく、生活資金も手に入ります。
「配偶者居住権」はただ住み続けるだけの権利なので、売却したり賃貸などはできません。
また、土地と建物の所有者に対抗するためには、「配偶者居住権」を土地と建物に登記しておく必要があります。
権利を取得した配偶者が亡くなった時点で、配偶者居住権は自動的に消滅します。
また、10年や20年など消滅する期限を定めておく事もできます。
民法第907条
- 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
- 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
- 前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。
※WIKIBOOKSより引用
相続人が集まって、誰が何を相続するのかを決めるのが遺産分割協議です。
基本的に相続人はいつでも遺産分割をできます。
いつまでに・・・というような期限はありません。
遺産分割には相続人全員の同意が必要です。
しかし、遺産分割協議で相続人どうしの主張が平行線をたどり、遺産分割が決まらなければ、家庭裁判所に調停や裁判の手続きをする事になり、時間が掛かるような事も多々あるでしょう。
民法第908条
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
※WIKIBOOKSより引用
例えば、被相続人の次男が法科大学院に通っていて、司法試験の合格を目指していたとします。
しかし、被相続人は余命宣告を受けたので、このままだと次男は煩わしい遺産分割協議に巻き込まれ、学業どころではなくなってしまう事が目に見えていました。
その様な場合、遺言書で次男が司法試験に合格するまでの間、遺産分割を禁止させる事ができます。
遺産分割を禁止する場合は、最大5年間を期限として設定する事ができます。
先述した配偶者居住権は遺産分割をした後、配偶者を長期的に保護するための制度です。
しかし、実は夫婦仲が悪く、被相続人(亡くなった人)が家を配偶者ではなく第三者に遺贈する旨の遺言を残してあったとします。
すると家が第三者に遺贈された途端、配偶者は強制的に追い出され、住む場所を無くしてしまうかも知れません。
その様な状況から配偶者を守るのが「配偶者短期居住権」です。
配偶者が、被相続人の遺産である建物に相続開始の時において、無償で居住していたこと。
(配偶者と被相続人が同居している必要はありません)
遺産分割が終了して誰がその建物を取得するかが確定するか、相続開始から6ヶ月が経過するかの、いずれか遅い日まで。
ですから、配偶者は最低でも6ヶ月間はそのまま無償で住み続けられるので、その間に次の棲家を見つける事ができます。
配偶者短期居住権は相続開始時に自動的に発生。
家が遺産分割の対象となっている場合は、遺産分割が終了して誰がその家を取得するかが確定するか、相続開始から6ヶ月が経過するかの、いずれか遅い日
家が遺産分割の対象となっていない場合は、居住建物取得者が配偶者短期居住権の消滅の申入れをした日から6ヶ月後。
相続税の申告手続
相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に提出して下さい。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。※国税庁HPより引用
遺産分割に期限はないとは言っても、相続税の申告には期限があります。
遺産分割協議が開けなかったり、相続人どうしで揉めて、遺産分割に時間が掛かる場合には、まだ相続はしていなくても法定相続分に応じて、先に相続税を払う事になります。
相続税の申告は、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内にしなければなりません。
もし、相続税を支払えるだけの現金がない時には分納する事も可能ですが、煩雑な手続きが必要になります。
10ヶ月というのは、長いようで結構短いかも知れません。
民法第915条1項
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
※WIKIBOOKSより引用
遺産の中に多額の借金が含まれている場合、相続したくないですよね。
そんな時には「相続放棄」する事ができます。
また、相続で得た利益の範囲内で借金も相続する「限定承認」という事もできます。
相続放棄と限定承認をする場合には相続開始を知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申し出て、手続きをしなければなりません。
相続の放棄について詳しくはこちら
民法第1042条
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
※WIKIBOOKSより引用
相続人には最低限認められている相続分があります。
それを「遺留分」と言います。
例えば、遺言書に「第三者へ全ての財産を遺贈する」といったような事が書かれていたとします。
それを「はい、そうですか」 と認める訳には行かないのが普通です。
そんな時には受遺者(遺言通りに遺産を受け取った人)に対し、遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)をして遺留分を請求する権利を行使します。
それには期限があって、
相続の開始または不当(遺言の内容など)を知ってから1年以内となっています。
もし、不当(遺言書の内容など)を知らなかったとしても、相続の開始から10年が過ぎてしまうと時効となり、遺留分を請求でき亡くなってしまします。
遺留分について詳しくはこちら
実は遺産分割をする前であっても、自分の相続分を 自由に第三者へ譲渡したり、抵当権を設定することができます。
例えば相続人が妻、長女、長男の3人だとします。
遺産分割協議をする前であれば、自分が何を相続するのかは分かりません。
ですから、普通は土地と建物に 抵当権を設定しようとすると、 相続人全員の同意が必要です。
しかし、自分が相続するであろう持ち分(長男であればその土地と建物の1/4)に対して 抵当権を設定するのであれば、他の相続人の同意が無くても自由にできます。
相続の際、よくもめ事の原因となるのがこのページで扱った遺産分割です。そこで、後に相続人がもめらないように、生前、遺言を残しておくことができます。「次ページ」では遺言についてご紹介します。
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