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相続税の計算は少しややこしいところもありますが、 ここでは例を挙げながら、3つのステップに分けて優しく解説します。
ここで解説した通りに税率を元に計算してみて、相続税がどれくらいかかるのか算出してみてください。
※このページは国税庁のNo.4152 相続税の計算
を基に作成しています
相続税の計算の目次
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まずは相続財産がどれだけあるのかを出します。
国税庁のHPには次のように記載されています。
相続や遺贈によって取得した財産(本来の相続財産)
相続税は原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものをいいます。
※国税庁のHPより引用
現金や預金、株式、土地や建物など、被相続人(亡くなった人)の遺産を全て洗い出す訳ですが、忘れてはならないのが生命保険金や死亡退職金です。
生命保険や死亡退職金は民法上の相続財産ではありませんが、「みなし相続財産」として計上します。
計上する相続財産は概ね次のようなものになります。
みなし財産については国税庁のHPに次のように記載されています。
そのほか相続税がかかる財産(みなし相続財産ほか)
次に掲げる財産も相続税法の規定などにより相続税の対象となります。
- (1) 死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金など
- (2) 被相続人から生前に贈与を受けて、贈与税の納税猶予の特例を受けていた農地、非上場会社の株式や事業用資産など
- (3) 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税又は結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額
- (4) 相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から財産の贈与を受けている場合(一定の特例を受けた場合を除きます。)
- (5) 被相続人から、生前、相続時精算課税の適用を受け取得した贈与財産
- (6) 相続人がいなかった場合に、民法の定めによって相続財産法人から与えられた財産
- (7) 特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額で確定したもの
※国税庁のHPより引用
なお、みなし相続財産の生命保険金や死亡退職金には非課税枠があり、その非課税枠分を引いた額を相続財産として加算します。
生命保険等の非課税枠の計算式
相続人が3人であれば、500万円×3人=1500万円 となります
具体的に例を挙げて相続財産の総額を計算してみます。(相続人を3人として仮定しています)
この例では相続財産の総額が2億2,500万円です。
相続人が生前贈与を受けていた場合、それが死亡する3年前以内であれば、生前贈与は無かったものとして相続財産に加算しなければなりません。それを「生前贈与加算」と言います。
生前贈与加算の対象となる贈与を受けた時に、既に贈与税を払っていれば、後で、相続税額からその贈与税額を差し引く事ができます。
しかし、次の様な生前贈与は加算の対象にしなくても構いません。
相続税の課税対象となる金額は、この相続財産の総額から基礎控除額を引いたものになります。
法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円になります。
(3000万円+600万円×法定相続人の人数)
基礎控除額について詳しくはこちらをご覧ください。
基礎控除以外にも
被相続人(亡くなった人)の借入金と葬儀費用も控除する事ができます。
ここでは控除額を次のように仮定します。
この例では控除額が6,500万円です。
相続財産の総額2億2,500万円から総控除額6,500万円を引いて、1億6,000万円が相続税の課税対象額となります。
借入金や葬儀費用の他にも、相続財産から控除できるものがあります。
それは「特定小規模宅地等の特例」です。
被相続人(亡くなった人)の所有していた土地が、ある一定の条件を満たしている場合に、その土地の評価額を最大80%減額できるという特例です。
対象となる土地は次の3種類。
被相続人(亡くなった人)、または被相続人と生計を共にしていた親族が住んでいた土地。
限度面積 | 減額率 | |
特定居住用宅地等 | 330 ㎡以下 | 80% |
被相続人(亡くなった人)、または被相続人と生計を共にしていた親族が事業(貸付事業を除きます)を営んでいた土地。
限度面積 | 減額率 | |
特定事業用宅地等 | 400 ㎡以下 | 80% |
被相続人(亡くなった人)、または被相続人と生計を共にしていた親族が貸付事業を営んでいた土地。
限度面積 | 減額率 | |
貸付事業用宅地等 | 200 ㎡以下 | 50% |
もし、先ほどの例で、相続財産に上げた評価額5,000万円の土地が特定住居用宅地に該当するとしたら、評価額が4,000万円減額され、1,000万円として相続財産に計上します。
「特定小規模宅地等の特例」について詳しくは国税庁のHPにて。
一旦、法定相続分で分割したものとして、相続税の税率を元に計算して、相続税の総額を算出します。
相続人は妻、長女、長男の3人と仮定します。
相続税の課税対象額が1億6,000万円の場合、法定相続分で分割すると
妻は 1億6000万円×50%=8,000万円
長女 1億6000万円×25%=4,000万円
長男 1億6000万円×25%=4,000万円
続いて、次の相続税の税率表から、それぞれの相続税額を計算します。
相続税の税率一覧
妻 8,000万円×30%-700万円=1,700万円
長女 4,000万円×20%-200万円=600万円
長男 4,000万円×20%-200万円=600万円
したがって、相続税の総額は
1,700万円+600万円+600万円=2,900万円
となります。
一旦、税率表で計算した相続税の総額を元に、実際の相続分割の割合で、相続人に振り分けます。
相続財産を法定相続分の通りに分割した場合、先に計算した相続税の総額2900万円を法定相続分の通りに分けた額がそれぞれの相続税になります。
妻 2,900万円×50%=1,450万円
長女 2,900万円×25%=725万円
長男 2,900万円×25%=725万円
ただし、被相続人(亡くなった人)の配偶者には税額軽減があります。
実際に配偶者が取得した相続財産が法定相続分以内であれば、配偶者の相続税はかかりません。
もし法定相続分を超えていても、取得した相続財産が1億6,000万円までは相続税はかかりません。
ここで挙げている例の場合、妻は法定相続分で遺産分割しているので、妻の相続税は0円となります。
妻が50%、長女が30%、長男が20%の割合で相続財産を分割した場合、相続税の総額2900万円を実際の遺産分割と同じ割合で割り振ります。
妻 2,900万円×50%=1,450万円
(配偶者の税額軽減により0円)
長女 2,900万円×30%=870万円
長男 2,900万円×20%=580万円
相続税には配偶者の税額軽減以外にも次の控除があるので、該当する場合は控除額を差し引きます。
相続人が未成年者の場合、20歳になるまでの年数に対し、1年につき10万円を控除できます。
先ほどの例で、長男が18歳6ヶ月だったとします。その場合の控除額は
(20歳-18歳)×10万円=20万円 になります。
長男の相続税は580万円なので、20万円を差し引いて、560万円が実際に納める金額になります。
先に解説した「生前贈与加算」の対象となる贈与(3年以内の生前贈与)があり、相続財産として加算してあった場合、既に贈与税を納めてあれば、その贈与税分は差し引くことができます。
先ほどの例で、長女が故人から亡くなる2年前に2000万円の生前贈与を受け、既に贈与税586万円を納めていたとします。
その場合、長女の相続税は870万円なので、贈与税分を差し引いて、284万円を納めれば良い事になります。
被相続人(亡くなった人)の配偶者、子供、親以外の人が相続する場合は、相続税額が2割増しになります。
2割増しになるのは次の様な人たちです。
例えば遺言により、5歳の孫へ遺贈する事になった場合、
相続税総額2900万円で、相続分は妻50%、長女と長男が20%ずつ、孫が10%だとします。
孫の相続税は290万円。しかし、未成年者控除により150万円(15年×10万円)が控除され、140万円。
その140万円に2割加算され、「140万円×1.2=168万円」を納める事になります。
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