【相続の基本】配偶者と子供で遺産を分け合う



 

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子や孫への相続

 

相続には順位があり、順位の上の人が優先的に遺産相続をする事になります。
ここでは最も基本的な相続の形をご紹介します。

基本的には配偶者と子供は遺産相続できますが、孫は相続できません。
更に、親、兄弟なども相続の順位が下になるので相続できません。

もし、愛人に隠し子がいた場合、その子供は第一順位になるので相続人になります。

 

 

相続の基本の目次


 

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  ‥‥いくら相続税がかかる?

 

 

 

 

基本的に配偶者が最優先

 

遺産相続をする上で、問題となるのが、誰がいくら相続するのか?

基本的には配偶者が最も優遇される事になっています。

相続の権利を持っているのは、亡くなった人の配偶者と血縁者。
まずは配偶者が法定相続分の遺産を受取り、残りを他の相続人(相続を受ける人)で分け合う事になります。

 

妻以外の相続人には順位があり、第一順位、第二順位、第三順位に分かれています。
順位の上の人が優先的に相続人となり、上の順位の人がいなければ、その下の順位の人に相続権が移ります。

つまり、第一順位の人がいなければ、第二順位の人が ・・・
第一順位の人も第二順位の人もいなければ、第三順位の人が相続人になります。

もし、第一から第三順位まで、誰もいなければ、配偶者が全ての遺産を相続する事になり、
更に、配偶者もおらず、被相続人(亡くなった人)が天涯孤独だとしたら遺産は国庫に帰属されます。

相続人の順位と、それぞれの法定相続分の割合については、次の表のように定められています。

 

相続の順位 法定相続人 法定相続分
第一順位 直系卑属
(子・孫)
配偶者:1/2
子:1/2
第二順位 直系尊属
(父母・祖父母)
配偶者:2/3
直系尊属:1/3
第三順位 兄弟姉妹 配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4

 

 

 

 

 

 

配偶者と子供による相続

 


最も基本的な相続の形


 

最もオーソドックスな相続の形は、配偶者(妻)と第一順位の直系卑属(子供や孫)による相続です

民法では次のように定められています。

民法第890条

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

※WIKIBOOKSより引用

※民法第887条1項には「被相続人の子は、相続人となる」と記載されています。

原則として被相続人(亡くなった人)の配偶者と子供が遺産相続の対象者(相続人)になります。
その他の人は遺産を相続する事はできません。

 

最も基本的な相続の形

 

被相続人(本人)が遺産を残して死亡すると
被相続人の配偶者(妻)が遺産の1/2を相続して、残りの1/2を子供が分け合います

ただし、上の図で、孫も直系卑属ではありますが、
被相続人の子である長男が相続する場合、孫は相続人になれません(遺産を相続することができない)。

義娘(長男の配偶者)も直系卑属ではないので相続人になれません。

また、その他の第二順位の親や第三順位の兄も相続人になれません。

 

 

 

 

 

胎児は相続人になれるのか?

大原則は、被相続人が亡くなった時点で存在していない人は、相続人にはなり得ないという事です。
先ほどの図で、もし被相続人の妻が亡くなっていれば、妻は相続人にはならず、長男と長女の2人で遺産を分ける事になります。

では、もし被相続人が亡くなった時に、妻が妊娠していたとしたら、お腹の子はまだ存在していないので相続人にはなれないのでしょうか?

 

 


相続では例外的に認められている


 

民法で次のように定められています。

民法第886条
  1. 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
  2. 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

※WIKIBOOKSより引用

 

相続が開始した時点で胎児はまだ存在していないので、相続人にはなれないのが原則なのですが、民法では例外的に生まれたものとみなして相続権が与えられる事になっています。

ただし、死産だった場合は相続権は認められません

ですから、被相続人が亡くなっても、お腹の子が生まれてくるまで、相続人が確定せず相続分もいくらになるのか決定しない事になってしまうのです。

 

 


胎児が生まれたら?


 

お腹の子が無事に生まれた場合、生まれた子には判断能力が無いので特別代理人を立てて遺産分割協議をしなければなりません

そして、特別代理人は利害関係のない第三者でなければなりません。

例えば、生まれてきた子供の母親(被相続人の妻)も同じく相続人なので、もし母親が特別代理人になったとすると、相続財産を独り占めできてしまいます。この状態を利益相反関係にあると言います。

ですから、家庭裁判所で利益相反関係にはない第三者を特別代理人として選任してもらいます
多くの場合、利害関係のない親族になるのが一般的です。

なお、特別代理人を選任する手続きは、胎児だけではなく未成年の相続人の場合も必要となります。

 

 

 

 

 

もし、隠し子がいたら?

 


愛人の子が相続できるのか?


 

当然、愛人は婚姻関係も血縁関係もありませんので、相続人にはなれませんが、
もし、愛人との間に子供、いわゆる隠し子がいた場合、その子供は被相続人の直系卑属になるので、遺産を相続する事ができます

そして、正式な妻との子(摘出子)と愛人の子(非摘出子)で均等に分けます

※以前は非摘出子の相続分は摘出子の半分でしたが、2013年に最高裁が違憲としました。

 

愛人に隠し子がいる場合の相続

 

上の図の例でいうと
仮に6000万円の遺産があったとします。

妻が半分の3000万円、
残りの3000万円を子供たちで分けて、
妻との子供である長男と長女が1000万円ずつ、
隠し子も1000万円を相続することになります。

 

仮に、被相続人(亡くなった人)と妻との間に子供が1人もいなくて、直系卑属が唯一隠し子だけだったとしたら、その隠し子は妻と同額の3000万円を相続することになります。
それは、愛人の手に遺産の半分が渡るのと同じですから、妻としては心中穏やかではいられないでしょうね。

 

 

 

 

 

離婚していた場合の相続の取り分

 


離婚した元配偶者には権利無し


 

先にご案内した様に、配偶者の相続分の割合は最も多く定められていて、最も優遇されています。
ですから、離婚したとしても元配偶者としては、少しぐらいは遺産が手に入るのではと期待したくなりますね。

しかし、離婚してしまった元配偶者は法律上ただの他人です。
したがって、相続する権利はありません

相続する権利を得るためには、夫婦に婚姻関係のあることが大前提になります。
例えば婚姻届けを出していない事実婚状態の夫婦も、相手が亡くなった時に遺産を相続する事はできません。

 

 


離婚しても子供には相続権がある


 

例えば、元配偶者と被相続人(亡くなった人)との間に子供がいたとしたら、離婚してもその子供には相続する権利が残ります

仮に、被相続人が再婚して、新たな配偶者との間に子供ができていたとしても、元配偶者との子供にも同等の相続権があります

 

離婚している場合の相続

 

上図の例のように、
元妻との間に1人の子供がいて、新たな配偶者との間に2人の子供がいたとします。

この場合、3000万円の遺産を新たな配偶者が半分の1500万円を相続し、残りを3人の子供で均等に分け、それぞれ500万円ずつを相続する事になります。

 

 


遺言があれば、元妻も相続できる


 

例えば、若いころミュージシャンを目指していた時に、苦しい生活を支えてくれた糟糠の妻(そうこうのつま)がいたとします。
しかし成功を勝ち取り有名人になった途端、糟糠の妻と離婚して、新たな女性に乗り換えてしまった・・・。
よくありそうな話ですね。

ただ、ずっと糟糠の妻に対し 後ろめたい気持ちがあり、自分の死期が近い事を知ったのを機に、遺言書を作成して、「糟糠の妻に財産の一部を残す」と記載した・・・。

というように、遺言を残してもらった場合は、元配偶者でも遺産を受け取る事ができます

 

 

 

 

 

【実例】外国人が相続人に

 


実際に体験した、ややこしい相続の手続き


 

実は私が体験した、とても困難な実例をご紹介します。

同居していた義父(妻の父親)が亡くなった時の事です。
遺産はわずかな現金と住んでいる家と土地でした。

義母は既に他界していて、
相続人は第一順位である私の妻(長女)と義妹(次女)の2人だけ

そして、義妹(次女)はカナダ人と国際結婚をして、カナダで暮らしていました。
義妹(次女)夫婦には子供はいません

相続人は姉妹の2人

 

妻(長女)と義妹(次女)は話し合い、義妹(次女)はカナダ在住ですし、遺産相続を放棄して、全ての遺産を妻(長女)が相続することになりました。

そこで、私の方で父の名義になっていた土地と建物を、妻の名義へと変更する手続きを始めました。

ところが、手続きをしている途中で、義妹(次女)がカナダの地で急死してしまったのです。

相続人の次女が急死

 

義妹(次女)の急死により、大きな問題が発生しました。

まず、義父が亡くなった時点で、私たち夫婦が住んでいる土地と建物は、第一順位である妻(長女)と義妹(次女)が相続する事になりました。
つまり土地と建物の半分は義妹(次女)のモノになったのです

妻(長女)と義妹(次女)の話し合いで、義妹(次女)は相続を放棄する事に決まったものの、手続きは終わっていませんでした。

ですから、土地と建物の半分は義妹(次女)のモノになっている状態で義妹(次女)が亡くなったので、その土地と建物の半分は、自動的にカナダ在住の外国人である義妹(次女)の夫が相続した事になってしまいます

 

 

 

 

法務局に相談すると、義妹(次女)の夫に相続を放棄する旨の文書を作成してもらい、署名と捺印をして、カナダの公証人役場でその文書の証明書を発行してもらうように。
文章は英語と日本語の両方が必要との事でした。

法務局に、カナダには日本の様な公証人役場があるのか?と尋ねると、法務局は「カナダにそんな機関があるかどうかは分かりません」と、何とも無責任な回答。カナダ人なのでハンコは持ってないと思いますよと訴えると、捺印だけは免除してくれることになりました。

それにしても大変だったのは、義妹(次女)の夫は、日本語は全く話せないので、電話でのやり取りはできません。
それだけでも大変ですが、彼はパソコンの操作ができないので、メールのやり取りもできません。

連絡を取る手段は唯一手紙だけ。

仕方ないので、私のつたない英語で手紙を書き、このややこしい状況を伝えるところから始め、一つ一つ手探りで紐解いていきました。

エアメールで手紙を出しても、返事が返ってくるのは1ヶ月後。
しかも、義妹(次女)の夫にしてみたら、ややこしいだけで、なんの利益も出ない話ですから、いつサジを投げられても仕方ありません。
下手したら、土地と建物の半分の相続を主張され、それに見合った金銭の要求をされるかも知れません

それでも何とか1年ぐらいかけて、法務局が納得する資料を揃えて、手続きを完了させました。

場合によっては、相続も、こんなにややこしい状況になる事があります。

 

 

ここでご紹介したパターンでは、孫は相続できませんが、孫が相続できるパターンもあります。「次ページ」ではその辺りをご紹介します。

 

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