熱貫流率(U値)とは|計算の仕方
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熱貫流率(U値)とは、
材料自体の熱の伝えやすさだけでなく、材料の厚さも加味して熱の伝わりやすさを表した値。
壁や屋根、床について、室内外の空気温度に1度の差があるとき、1時間にに壁1㎡を通過する熱量を表します。 単位は「W/m2・K」です。
数値が小さいほど断熱性能が良いことになります。

熱貫流率(U値)の計算式を具体例を使ってわかりやすく解説します。

熱貫流率(U値)とは

 

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熱貫流率(U値)の詳細説明

 

熱貫流率(U値)とは熱の伝えやすさを表した値。

単位は「 W/m2・K 」です。

熱貫流率と同じように、熱の伝えやすさを表わす数値として熱伝導率というのがありますが、 熱伝導率は材料自体を評価する数値であるのに対し、熱貫流率はそれに加え、その材料の厚さも評価します。

つまり、熱伝導率は材料の断熱性能を評価した数値、 熱貫流率は仕様の断熱性能を評価した数値です。

かつては熱貫流率を「K値」と呼びましたが、2009年4月1日に施行された改正省エネ法以降「U値」という名称に代わりました。

 

 熱貫流率の計算

熱貫流率は熱伝導率を元に算出します。計算式は次のようになります。

 

熱貫流率の計算式

 

この計算によって壁や屋根、床について、室内外の空気温度に1度の差があるとき、1時間にに壁1㎡を通過する熱量が求められます

数値が小さいほど性能が良いことになります。

材料が層になっている場合は「材料の熱抵抗値」を材料の数だけ増やして計算していきます。
計算式は次のようになります。

 

熱貫流率の計算

 

この計算式を使って外壁の熱貫流率(U値)を実際に算出してみましょう。

各材料の熱伝導率はこちらからダウンロードできます。
熱伝導率一覧表のダウンロード

 

 

 

 

 

 

 一般部の熱貫流率の計算

断熱材が入った部分(一般部)の熱貫流率の計算は次のようになります。

 

壁の熱貫流率の計算

 

この例の場合、壁の断熱材が入った部分(一般部)の熱貫流率は、
計算の結果 0.556W/㎡・K となりました。

 

 

 

 

 

 

 熱橋部の熱貫流率の計算

柱の部分(熱橋部)の熱貫流率の計算は次のようになります。

 

柱部分の熱貫流率の計算式

 

この例の場合、壁の断熱材が入っていない柱の部分(熱橋部)の熱貫流率は、
計算の結果 0.880W/㎡・K となりました。

 

ところで、上の計算式の「Ri」と「Ro」には次の数値を使います。

 

室内外の熱抵抗値

部位
熱伝達抵抗(㎡・K/W)
室内側表面
Ri
外気側表面
Ro
外気の場合 外気以外
屋根
0.09
0.04 0.09(通気層)
天井
0.09
0.09(小屋裏)
外壁
0.11
0.04 0.11(通気層)

0.15
0.04 0.15(床下)

 

なお、空気層については、次の数値を使うことになっています。

空気層(中空層)の熱抵抗値

空気の種類
空気層の厚さ
da(cm)
Ra
(㎡・K/W)
(1)工場生産で
気密なもの
2cm以下
0.09×da
2cm以上
0.18
(2)(1)以外のもの
1cm以下
0.09×da
1cm以上
0.09

 

 

 

 

 

 

 平均熱貫流率の計算

先の熱貫流率の計算例のように、断熱材が入っている一般部と柱の熱橋部とでは0.3W/㎡K強の差があります。

「Q値(熱損失係数)とは」などの計算をする際には、両方の部位を加味して熱貫流率を計算する必要があります。

それが平均熱貫流率です。

 

熱橋部と一般部の面積比

 

上の図は木造軸組工法(在来工法)の外壁の模式図です。

平均熱貫流率を計算するためには、熱橋部と一般部の面積比を算出しなくてはなりません。

そして、次の計算式で計算します。

 

平均熱貫流率の計算式

 

 

 

 

 

 

熱橋の面積比は、床工法の違いや断熱一の違いによって異なります。

概ね、次の表で示したような比率になります。

 

木造軸組工法(在来工法)の
各部位熱橋面積比

部位
工法の種類
熱橋面積比

床梁工法 根太間に断熱 0.20
束立大引工法

根太間に断熱

大引間に断熱

0.20

0.15

剛床(根太レス)工法
0.15
床梁土台同面 根太間に断熱
0.30
外壁 柱・間柱に断熱 0.17
天井
桁・梁間に断熱
0.13
屋根 たるき間に断熱
0.14

 

枠組壁工法(2×4工法)の
各部位熱橋面積比

部位
工法の種類
熱橋面積比

根太間に断熱する場合 0.13
外壁  スタッド間に断熱する場合 
0.23
屋根
たるき間に断熱する場合
0.14

※ 天井は、下地直上に充分な断熱厚さが確保されている場合は、熱橋として勘案しなくてもよい。
ただし、桁・梁が断熱材を貫通する場合は、桁・梁を熱橋として扱う。


平均熱貫流率を実際に算出してみましょう。(先ほどから例に出している外壁で計算してみます)

  • 平均熱貫流率
    =一般の熱貫流量×一般部の熱橋面積比+熱橋部の熱貫流率×熱橋部の熱橋面積比

    =0.556×0.83+0.88×0.17
    ≒0.61(小数点以下3位を四捨五入します)

 

 

 

 

 

 実質熱貫流率

最後に平均熱貫流率に熱橋係数を掛けて、実質熱貫流率を算出します。

木造の場合、熱橋係数は1.00であるため平均熱貫流率がそのまま実質熱貫流率になります。

鉄骨系の住宅の場合、鉄骨は非常に熱を通しやすいため、平均熱貫流率に割り増し係数(金属熱橋係数)をかける必要があります。

鉄骨系の熱橋係数は鉄骨の形状や構造によって細かく設定されています。
ちなみに、最もオーソドックスなプレハブ住宅だと、1.20というような数値になっています。

 

外壁以外にも、床、天井、開口部など各部位の熱貫流率(U値)を求め
各部位の面積を掛け、合算すると
UA値(外皮平均熱貫流率)やQ値(熱損失係数)を求めることができます。

詳しくは
「UA値(外皮平均熱貫流率)とは」
「Q値(熱損失係数)とは」をご覧ください。

窓の熱貫流率に関しては、
各サッシメーカーとガラスメーカーにて表示されている数値を参照ください。

 

 

 

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