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色々な種類のある換気システム。ハウスメーカーや工務店にお任せしてはいけません。それぞれのメリットやデメリットを知って、自分たちに合ったシステムを選びましょう。
ここでは換気システムの種類とその特徴を分かりやすく解説します。
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一般住宅で採用される換気システムは第1種換気と第3種換気のどちらかになります。
地味な換気システムですが、実は健康と省エネに大きな影響を与えるのです。
それぞれどの様なメリットとデメリットがあり、どうやって選んだらいいのでしょうか?
動画長さ 11分22秒
1日24時間、常時、機械制御で家中を換気するシステムの事です。
一般的には「24時間換気システム」と呼ばれています。
1時間に家中の空気の半分を入れ替え(換気量0.5回/h)、常に空気を綺麗な状態に保ちます。
新築住宅を建築する際には、この24時間換気システムの設置が法律によって、義務化されています。
24時間換気システムについて更に詳しくはこちら
2003年に24時間換気システムの設置が義務化された時には、
建材に含まれるホルムアルデヒドなどの揮発性の化学物質(VOC)によるシックハウス症候群が社会問題となっていました。
ただ、現在の建材にはホルムアルデヒドなどはほとんど含まれていいないため、化学物質過敏症対策としての意味合いは以前と比べるとやや薄れています。
居室の二酸化炭素含有率の基準は1000ppm以下となっています。
人間は1時間に400リットル以上もの空気を呼吸しているので、閉めっ切った状態の部屋にいると、あっと言う間に基準を超えてしまいます。
二酸化炭素濃度の基準を超えずに、良好な空気環境を保つためには一人当たり30立方メートル/hの空気を換気する必要があります。
具体的には、床面積約30坪の家に4人で暮らしている場合、換気量0.5回/hでギリギリでクリアできる計算になります。
冬になると発生する結露は建材の劣化を招き、住宅の寿命にも影響を与えます。
更に、結露水によってカビが発生し、それを餌にダニも繁殖し、ハウスダストによるアレルギーを発症するリスクが高まります。
結露を防ぐ手段として有効なのは、断熱性を高める事と換気です。
結露の原因となる水蒸気は、キッチンやお風呂などの水廻りからも大量に発生しますし、人間からも一人当たり1日に1リットルの水蒸気を空気中に放出するので、
それら水蒸気を換気システムによって屋外に輩出し、家の中の湿度を下げる事で、結露の発生を抑える事ができます。
外気には花粉やPM2.5など、有害物質が多く含まれています。
換気システムは外気にフィルターを通してから室内に取り込むので、綺麗な空気環境を作る事ができます。
高性能フィルターであれば、2.0μm以上の粒子を約95%以上、捕集できるものもあります。
自然換気に任せると、風の強い時は換気量が極端に多くなり、冷暖房した空気を外部へ垂れ流す事になり、エネルギーロスが多くなります。
また、自分で定期的に窓を開け、換気するようにした場合、窓を開け忘れる可能性もあります。
換気システムの目的は、できるだけ少ないエネルギーロスで、良好な空気環境を安定的に確保する事にあります。
特に、換気システムに熱交換器が組み合わされていれば、熱を70~90%回収できるので、冷暖房負荷は大幅に軽減でき、更にエネルギーロスを抑える事ができます。
換気方式には大きく分けて、次の3種類があります。
給気と排気ともに機械換気をする方式です。
3種類の換気方式の中で最も空気の流れを制御する事ができます。
熱交換器やセントラル空調を組合わせたシステムが充実している。
熱交換器には大きく分けて次の2種類があります。
それぞれの詳細はこちら
他の換気方式より複雑になるため、コスト高になってしまう事と、複雑だという事は故障のリスクも高くなります。
フィルターを通して給気してはいるものの、年月が経つと給気側のダクト内にホコリが溜まり、その溜まったホコリの清掃は業者に依頼するしかなく、その点でもコスト高になります。
機械を使って強制的に給気し、排気口はただの開口になっています。
屋外より屋内の方が気圧が高い正圧状態になります。
屋内の方が気圧が高いので、屋外の花粉やホコリなどが侵入しにくくなります。
クリーンルームなどに適した換気方式です。
室内の湿気が壁内に侵入しやすくなるので、壁内結露が発生しやすくなるのが最大のデメリットです。
高い気密施工の精度が要求されます。(C値1.0cm2/m2以下)
建物の気密性が高くないと、給気口から入った空気が排気口以外の場所から抜けてしまい、計画通りの換気ができないだけでなく、
屋内が正圧にならず、花粉やホコリの侵入を防ぐというメリットが得られなくなります。
給気口はフィルターが付いたただの開口で、排気を機械で強制的に行う方式。
屋外より屋内の方が気圧が低い負圧状態になります。
システムの価格が他の換気方式よりも安価。
ファンを使うのは排気側だけなので、第一種換気よりランニングコストが掛からない。
また、シンプルな仕組みなので、メンテナンスコストも安く済みます。
屋内側が負圧になるので、花粉やホコリが入りやすくなる。
第二種換気と同様に、高い気密施工の精度が要求されます。(C値1.0cm2/m2以下)
気密性が悪いと、給気口以外のところから、外の空気が流入し、計画通りの空気の流れができず、ほとんど換気されない場所ができてしまいます。
また、フィルターの付いていない給気口以外から空気が入ってくると、屋外の花粉やホコリもどんどん室内に流れ込んできます。
住宅の気密の度合いは「C値(隙間相当面積)」で表します。
詳しくはこちら
隙間相当面積とは【住宅建築用語の意味】
その住宅のC値(隙間相当面積)は気密測定で調べる事ができます。
詳しくはこちら
住宅で第二種換気を採用するケースは、まずありません。
したがって、換気システムの選択肢としては第一種換気か第三種換気になります。
第一種換気と第三種換気を色々な観点で比べてみましょう。
価格で比較した場合、断然、第三種換気が有利です。
特に、ダクトなどは使わずに、小型のパイプファンを使ったシステムであれば、10万円以下。
ダクトを使った集中型のシステムで、30万円までです。
第一種換気で熱交換を行うシステムであれば、商品にもよりますが50万円以上。
セントラル空調も組み合わせると100万円以上はするでしょう。
第一種換気を運転するのにかかる電気代は概ね600~800円/月ほど。
一方、第三種換気だと概ね300~500円/月ほどになります。
ただし、第一種換気で全熱交換型の場合、冷暖房の負担を抑えられるので、冷暖房費も併せて考慮すると、ランニングコストは断然「第一種換気+全熱交換」の方が有利です。
「第一種換気+全熱交換」のシステムであれば、室内の熱を70~90%戻してくれるので、家中の温度差がほとんどなく快適である事は間違いないでしょう。
ただ、北海道より寒いスウェーデンの住宅では9割以上が第三種換気になっています。
換気システムは1時間に0.5回という、緩やかな換気なので、第三種換気だからと言って、冬に寒さを感じるという事はありません。
システムが単純な第三種換気が有利です。
システムが単純な方が故障する可能性も少ないですし、故障した時の修理費や部品交換の費用も安く済みます。
特に第一種換気のフィルター代は第三種換気のものより非常に高価です。
ただ、第一種換気の場合、多くはフィルターが1ケ所だけですが、第三種換気は何か所にも分散されているので、日頃のお手入れは第一種換気の方が楽です。
第一種換気の場合、住宅の気密性能にあまり関係なく、ほぼ計画通りに換気できます。
しかし、第三種換気であれば、できるだけ気密性を高めなければなりません。
最低でもC値1.0cm2/m2以下の性能が必要です。
ただし、1.0cm2/m2であっても、排気量が「10」とした場合、給気口から給気される空気は半分の「5」。
残り半分は、給気口以外に存在する隙間から空気が流入します。
ですから、第三種換気を採用するのであれば、気密性はできるだけ高める必要があります。
コスト面で第一種換気は第三種換気よりシステム自体の価格は高価ですが、
第三種換気を採用する場合は、高気密住宅であることが前提条件になります。
第三種換気に気密施工のコストも加えると、第一種換気とあまり変わらない事になるのかも知れません。
ただ、第一種換気を採用するとしても、やはり理想的な空気の流れを実現させるためには住宅の気密性はできるだけ高めるべきです。
正しい優先順位は、高気密住宅にする事が第一です。
その上で、それぞれのメリットとデメリットを考慮して、自分たちには第一種換気か、第三種換気かを決定するのが良いでしょう。
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